今住んでいる家の南側は小道になっている。
小道の脇には野薔薇が自生していて、こんもり葉を茂らせて日陰をつくっている。
更に道の奥には大きな椿の木があり、昼でも薄暗い日陰を作ってくれている。
夕方にはそこを寝ぐらにする、スズメが休みに帰ってくる。
春まもないころ、小道に面した洗面所の窓の軒下に、アシナガバチが巣を作り始めた。
去年も巣を作った所と全く同じ場所に
最初は女王蜂が一匹で、小さな巣を作り始める
毎日観察するが、なかなか巣が大きくて、見ている方がもどかしく心配になる
それからあれよという間に6月になった
そこら中でアシナガバチを見かけるのだが、うちのアシナガバチは女王蜂一匹だけで
巣の中に生んだ子供が孵るのを待っているのか、神経質に巣の周りを盛んに警戒して
回っていた
ある朝、日課の様に巣を見ると、何匹かに数が増えていた。
妻と二人、家族が増えたようで喜んだ。
ハチの数が増えて、少しづつ巣が大きくなり、巣の中には新たに子供がいるようだ。
それがふとしたきっかけで、大きな椿の木の茂みの中にスズメバチの巣があるのを発見した。
アシナガバチの巣とは、10メートルも離れていない所に
何だか嫌な予感がした。
6月半ば頃妻に呼ばれて見ると、スズメバチが巣に取り付いて巣の幼虫を襲っていた。
丁度いい紙筒があったのでそれで吹くと、スズメバチは驚いて逃げて行った。
それからは毎日、アシナガバチの巣が襲われていないか、何度も見回りをする日々が続いた。
ある時は早朝襲われたり、夕方に狙われた時もあった。
スズメバチは涼しい時に活動するのかと思って見ていると、正午にやってきた時もあった。
そんな時にアシナガバチはなす術もなく、巣の裏側に隠れたりして、スズメバチのなすがままにさせていた。
何度か追っ払ったが、そうもいかず巣を壊されて中の幼虫が連れ去られた
それを見るたびに妻と悲しんだ。
そんなことが度々あるので、襲来したスズメバチを捕まえるために、火バサミの先に粘着テープを貼り、スズメバチを捕まえることにした。
それで1度巣に取り付いて、中の幼虫を取り出し、大アゴで丸めているスズメバチを捕まえた
それで暫くスズメバチが来なくなり、僕の気も緩んでしまった。
ある朝妻に起こされ、見るとスズメバチが居て、巣が大きく欠けていた
何とか一匹のスズメバチを捕獲したが
その日の巣は様子がおかししく、夕方になっても巣に蜂達が戻らなかった。
次の日も巣はガランとしていたが、二匹だけ巣に戻って来た。
4、5日前の大雨の日、雨に濡れながら二匹は巣に付いていたが
雨が上がると巣から離れ、もう帰らなかった。
次の日アシナガバチの巣にアリの行列が出来ていた。
きっと巣の中にまだ子供が居たので、二匹で世話をしていたのが、大雨で
巣が濡れて幼虫が死んじゃったんだろうか。
それを察知してアリが軒下までやってきたんだろう
今日も朝起きると、ハチの居なくなった巣を見る。