雨日記

だんだん梅雨の季節に近づいてきまして、雨が多くなって来た。
ぼくの家の周りも一雨ごとに樹々が成長するんだろう。緑の色が日増しに濃くなっている。

きょうも一日雨だった。
多くの人は雨だと、嫌なんだと思う。
その点僕は恵まれているかもしれない、晴れの日はそれで気持ち良いし、雨の日は雨の日で楽しむ事を覚えたからだ。

展示で名刺を持って行って頂いた方は知っていると思うのだが、ぼくの名刺には、「雨を待つ男」と書かれている。
なんだかわからない。きっと雨の好きな変わった男なんだろうと想像する事だろう。

ぼくは、最近になって主に写真を撮り歩き発表をしているが、その前は絵がメインで創作をしていた。
学生時代に「自然」というテーマで作品を作れという課題が出た。
いろいろ考えたあげく自然に作品を作らせようと思いいたった。
いろいろ野外に出て自然と接するのだが、同じ場所に、いつ行っても新たな感動があり、安らぎを得られる。それに比べて一枚の絵の感動なんて知れたもんだと思うのだ。

最初は歩道橋の下とかに鳩の糞がもってある所があったりする、その下にキャンバスを置いて鳩の糞による絵画制作をしようと、上野の公園内に鳩がよく止まる木があり、その下にパネルを置いて次の日に行くと無くなっていた。
誰かに片付けられたようだ。

もう少し他に何か無いかとおもううちに、ふと雨に絵を描いてもらおうかと思いつき、水性インクで青一色にいろを塗り雨の日にベランダに出した所、思わぬ模様を雨が作ってくれた。
それは自分の予想を超えた物で、自分の描くつたない物よりはるかにおもしろいと思い、そこから雨による絵画が始まった。

学校での評判は良かった。
水性インクの発色の高さも、人に感動を与えるのだろう。何よりも適当に描いた模様を雨が溶かして再構築してくれるのだ、自分で描いて楽しめて、さらに打たせて出来上がりを待つのがまた楽しい。
きっと焼き物なんかもこんな楽しさに違いない。出来映えを炎に託すのだ。
それ以来ずっとこの雨による作品制作が続いている。自然任せなので飽きがこないのも良い。


今日も雨だったので、二枚の絵を雨に打たせた。
一枚目は昼ぐらいから、降ってるか降ってないかわからないくらいの微細な霧雨で3時間くらい打たせて、頃合いを見て家の中に引き入れた。
二枚目はその直後に外に出して、また時間が掛かるんだろうなと掃除をしながら打たせていた。突然何だか雨音が激しいのに気が付き見に行ってみると、多くのインクが流れ去っていた。
写真を撮ってから慌ててしまいこんだのだが、どうなる事やら。

まあ、こんな風に雨を楽しんでおります。
でもやっぱり、晴れの方が好きですね。
出来上がりをまた載せたいと思います。
写真は今日の打たせる前の作品と、途中経過の写真をデジカメで撮ったものです。:image%7C%7C%7C%7C%7C]