葛払い

今日は葛払いをした。
夏の間家に絡み付き、伸び放題に伸びていた葛を、秋に葉が落ちてからも放置していたのだが、もうすぐ引っ越しをするのにこのままにはしておけないと、今日大家さんに梯子を借りて、屋根に絡み付いた葛の蔓をすべて払い落とした。
夏の間には葉が屋根を覆い、夏の強い日差しから室温の上がるの防いでくれた。今年の夏も一度もクーラーを付けた事が無かった。
秋には葛と共に生活する虫達が美しい声で一斉に鳴き出して、深い眠りに誘ってくれた。
葛の周りに虫達が住み着き、それを食べに鳥達も集まって来た。

いざ決心して払い終えると、10年前にここに越して来た頃の家の姿が現れて来て、その頃の事を思い出す。




そしてこの十年間全てがなんだったんだろうと幻のようだ。
マルコちゃんという子猫が来てすぐに野良犬に殺されてしまい、チビ黒がやって来て交通事故で無くなった。
そんな事もあったな。

ここに暮らす昆虫たちには、今日はとんだ災難の日になった、払い終えた枯れ葉の下から夏の鳴き虫が寒そうにして現れた。