続 ターニングポイント

沖縄に居る台風の影響で、対馬行きの朝一番の便が欠航だった。

対馬空港の視界が悪いらしい。

僕らの乗る便も様子を見合わせていたが、定刻どおりに空港を離陸した。

ただ対馬の視界が悪かったら、また福岡迄引き返してくるという条件付きだった。

 

飛行機は一旦雲を突き抜け青空の上に飛び出した。

しばらくすると高度を下げ始めて、再び雲の中に突入した。

真っ白で何も見えない中、パイロットに任せるしかないが、無理しないで欲しいと願った。

さらに高度を下げ、海が見えて、陸地が見えた。

複雑な海岸線と、地層がむき出しの岩盤がいくつも目に入り、見慣れない景色にワクワクして、そのまま空港に突っ込んだ。

 

対馬での滞在期間中、良く晴れて天気に恵まれた。

最終日はしとしと雨が降り、まるで対馬との別れを悲しんでいるようだった。

 

宿のご主人との出会いがとても嬉しかった。

サービス精神の旺盛な人で、観光名所では無い地元の人ぞ知るような場所に、車で連れて行ってくれた。

夜は夕食が済むと蛍を見に連れて行ってくれたり、早朝から誰も居ない砂浜を案内してくれた。

車中も退屈させないようにと、身の上話や対馬のことなど面白おかしく話してくれるのが、聞いていて楽しかった。

 

そんな宿は、常連さんも多いらしく、何度も対馬に来られる人を「 対馬キチガイになるとです。」と言っていた。妻は今回が今年は2回目で、もう3回も対馬に行っているので、対馬キチガイになり始めているのかもしれない。

 

初日は空港からレンタカーで、神の山と言われる島の北部にある山に登った。

雨の後で滑りやすいので止めよう、という妻の助言を聞かずに山頂まで行き、山頂の祠や山頂の眺めなど写真を撮り、山を降り始めたらツルッと滑って、手で体を支える間も無く、斜面に倒れこんだ。

その時に地面と肋骨の間に首から下げていたカメラがあって、肋骨を強く打った。

 

これが対馬の自然(神様)とのファーストコンタクトだった。

 

翌日は宿で知り合った女性と三人で、神崎という対馬の南端に突き出した、細長い岬の先端を目指して、歩いた。

薄暗い林の中の獣道のような道を歩いていると、突然視界が開けて海が見渡せる絶景ポイントがいくつかあり、身も心も開放された。

岬の先端の灯台の眺めの良い木陰でお昼を食べて、また来た道を帰路についた。

 

3日目は宿で一緒だった男性の運転で、昨日も一緒だった女性と、宿の主人と、妻と五人で島内を一周、北の先端まで案内してくれた。

日本軍の砲台跡など、国境に在る島としての歴史を教わった。

その日は観光名所で韓国の観光客が大勢いたり、岬から韓国が見えたり、韓国が身近な日だった。

 

4日目は僕のリクエストで、島の南側の観光客が行かない入江を幾つか、すっかり親しくなった昨日も一緒だった女性と、宿の主人に案内してもらって、今日帰る女性を空港まで見送り、宿へ戻った。

その夜から雨が降ってきた。

 

帰ってから地図を眺めては、対馬の秘境度合いが凄く、まだまだ行ってみたいところが山ほどあり、また行きたいと思う。

 

何がターニングポイントだったかは、今はわからない。

妻とは会話をするようになって、あとは僕の進み方次第だと思っている。

 

 

ようやくインターネットショップが出来ました。

ショップの利用だけでなく、ショップに関する事、不便な点、値段設定など、なんでもお気付きの事がありましたら、メールを頂けると助かります。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

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雲の下に現れた海岸線

神の岬

対馬の景色