伊豆の思いで

今日事故で修理出来なくなった愛車を、廃車にする手続きをしにスバル迄行って来た。
フロント左側は大きくへこんで無惨な姿だった。
そのお陰で助手席に居た妻も大事にいたらずに済んだ。
お疲れ様でした。
川口に居た頃からずっと乗っているので、少し切なかった。


前回日記の続きです。
総支配人に挨拶をした後、寮に案内される。
コテージ風の建物はスギ木立の中にあり、昔は客室として利用されていたらしい。
重い鉄の扉を開けると、中は埃と湿った匂い。
1階の部屋を宛てがわれたのだが、8畳程の部屋に滲みの付いた絨毯が二重に轢かれていて、その上に大きな蜘蛛の死骸が目に付く、窓際にベットが一つと冷蔵庫がある。
とりあえずベットに荷物を置いて、少し休む。
暫くするとマネージャーと優しそうな人が挨拶に来る。
2階に住んでいる同居人らしい。


その晩彼と一杯やりながらご飯を食べる。
彼も久しぶりに語り合うらしく嬉しそう。
ぼくが以前何処で働いていたなどと訪ねると、彼が自分の過去を話し始める。


彼はもともとエリートである組織で仕事を任されていた。
その仕事は法律の抜け道を上手く潜りながらであったりと、あくどい事も眼をつぶりながら仕事をする事もあったらしい。
直属の上司の指示のもとある仕事をしていた時、上層部から突然懲戒免職を言い渡され職を失ったのだそうだ。
その上司はというと事がバレルのを予測して、あたかも部下がやったように巧妙な設定をして、自分に濡れ衣を着せたのだそうだ。
突然懲戒免職を言い渡され、暫くは何が起きたか判らず、それから彼は一ヵ月の間自分が何をしたのか覚えてないらしい。
それを見かねた弟に殴られて、家族をどうするんだと諭されて、正気を取り戻したのだそうだ。
テレビドラマのような話である。
その後妻と高校に通う息子さんの為に、各地のリゾートホテルを渡り歩き仕事をしているのだそうだ。


次の日も彼と飲んで、人生の歯車が狂ったが、人に対する思いやりだったり、感謝の心だったり、昔気付かなかった事が、今は気付かされる事が多いと話してくれた。
今は息子さんの将来の為にせっせと働いているのが喜びなんだそうだ。
そして息子さんががんばって京大に入学した事
次の仕事が実家の近くに就職が決まった事。これから奥さんと暮らすんだと笑顔だった。


翌日彼はホテルを去って、僕は二階の部屋へと移る事になる。