「あ〜」な日

今日は陽が射していたが、気温が上がらず寒い日だった。
フリースを着ていたが背中が冷えるので、押し入れから今年初めてダウンジャケットを出して着た。
東京で波に晒す絵を展示したく、B1サイズのパネルを2枚ボルトで固定した、100×150cmの画面を用意した。
ベランダから空模様を見ると、風が強くなんだか雨が降りそうで、波に晒すのは明日にしようかと迷ったが、あえて荒波の日に出掛けることにした。


海岸に出ると、予想通りに大波が波消しブロックに当たり、水しぶきが風に飛ばされて冬の日本海の景色だった。
さらに強風とともに、大雨が降って来て視界が悪かった。
目的地迄付くと強烈な陽が射してきて、雨も小降りになり、暗い東の空に虹が出ていた。


車を停めて海へ行こうとすると、危険立ち入らないで下さいという札とロープが貼ってあったが、自己責任でとロープをまたいで海へ向かった。
大きな画面が強風に煽られ、飛ばされそうになりながら波打ち際まで来ると、カモメも飛ぶのを止めて砂浜で丸くなり休んでいた。


絵を晒す場所は波消しブロックの内側にあったが、それでも波の勢いが強く、波の引きも激しかった。
波打ち際、砂の斜面のどの変に絵を置けば良いのか判断が難しかったが、とりあえずこの辺りかと置いてみた。
第一陣の波は小さく絵の手前に波が被っただけだった。
次の波を待っていたが絵の手前で引いて行くので、また少し海寄りに絵を持って行った。
ところが次の波が大きかった、完全に波が絵を覆ったかと思うと、沢山の砂と一緒に絵が引き波に浚われてしまった。
慌てて絵を救出しようとして、パネルの端を掴んだが引き波の力は強力で、危うく自分も持っていかれそうになり、手放した。


日本海の水は思ったより暖かく、持っていたカメラは水を被り、ダウンジャケットもびしょ濡れになった。
暫く絵が消えた海を見ていると、ボルトで繋ぎ合わせた絵が真っ二つに別れて、パネルの一つが波に運ばれて砂浜にたどり着いた。
砂浜に打ち上げられたパネルの写真を撮ろうとしたが、カメラが動作不能になってしまった。
自然が相手だと、まったく思い通りには行かないもので、せめてカメラは安全な所に置いておくべきだった。
がっかりして「あ〜」とため息ばかり出た。