子猫のその後ですが、おばあさんに預けられたが、ミルクを飲まないというので、再び僕が預かる事になり、嫌がる子猫にミルクを無理矢理飲ませ続けた。
そのうちにうちの新潟の妻から、注射器(シリンジ)が送られて来た。
これが具合が良かった。
子猫用のスポイトで上手く飲ませられなかったのが、このシリンジというのが、歯の隙間に上手く入り、子猫に飲ませる量も増えた。
相変わらず子猫に時間を取られ、それでも小まめに無理矢理飲ませていた。
日に日に元気になり、そのうちに自分からシリンジの先を噛むようになり、暑くなり喉も乾くのだろうか、飲む量も格段に増えて行った。
オーナーから過保護だと言われたが、猫が元気な事が嬉しかった。
でもあと10日程で新潟に帰らなくてはいけない。
引き継ぎをどうしたら良いだろうと、悩んでいた。
4、5日前の事、猫の扱いについてオーナーと口論になり、「お前はもう面倒みんでもええ」と猫を取り上げられた。
もう新潟に帰ろうかと、自分の荷物をまとめて、街まで歩いて行こうかと本気で思ったが、そこはなんとか堪えた。
どうやらまたおばあさんのところに預けられたらしい。
おばあさんにミルクや、妻から送られてきたシリンジ、猫缶などを渡して、再び面倒をお願いした。
その後おばあさんからよくミルクを飲むと聞かされていた。
おばあさんの家の近くに行って猫の鳴き声が聞こえると辛いので、おばあさんの家に近づかないようにして、全てをお任せする事にした。
少々雑に扱われても逞しく生きてくれると思ったし、その時の子猫はそれくらい力強かった。
それが今朝の事、起きて、森のトイレから帰ると、死にそうだとお婆さんが子猫を抱えている。
見るとタオルに包まれ、おばあさんの膝の上で弱々しく鳴いていて、もうダメだろうと見てとれた。
おばあさんから預かって、平な布団の上に寝かせ、強引に水を飲ませたが、何度か足を伸ばし引き攣らせている。
もしこの子が助かったら新潟に連れて帰ろうかと考えていたが、暫くして息を引き取った。
静かに安らかにと、森の奥に埋めてあげた。