新橋

川口の駅前も今や新しく再開発されて随分ときれいになっている。この季節ともなればクリスマスのイルミネーションで随分と華やかな印象がする。駅前には高層ビルが立ち、昔からの鋳物の街といった雰囲気は駅周辺に限ってはもう残っていない。
そんな川口駅のすぐ近くに、大正くらいからありそうな雑貨やさんが一軒あり、今回の京浜東北線の展示にも写真を出したのですが、売っている物といえばやかんだったり、箒やちりとり、店内をよく見てはいないが、ひと昔前の雑貨屋さんといった品が置いてある。が今や百円ショップに行けばたいていの物はありそうな物ばかりで、いつお客さんが入るんだろう?と勝手に心配したりしてしまう。
レトロなウインドウに鼠取り器がたくさん並んでいて、それも建物同様に今の時代としては異色に感じられる。今時必要に迫られてネズミ取り機を買う人なんてめったにいるわけない。
そこで中判カメラを取り出し、三脚を立ててお店を数枚写真を撮っていると中からおじいさんが出て来て、「写真撮らないでくれ』と一言いわれた。そこでぼくは、この建物が魅力的でと伝えたのだが聞く耳を持ってくれなかった。おじいさんのがんこ一徹さがこの建物にも現れてるんだと思った。
「こんな不景気に写真を撮ってるなんて良い身分だ」とまでいわれた。そうに違いないとは思った。
そのお店は川口市の前の北足立郡の時からあるそうだ、そんなお店もおじいさんが亡くなったらきっと取り壊されてしまうのだろう。
文句をいわれたが、写真に記録できたのは良かったんではないかと思う。
でもあんな素敵な店がその後百年も残っていたら素敵だなあと思うのです。

写真は新橋です。新橋と言えばやはり飲みやでしょう。どこの街にも飲屋街はありますが新橋の飲みや街は日本一でしょう。その数に驚かされます。会社の帰りに独りでちょっと一杯やってる人なんかいて、ぼくは一度も独りで飲みやに入った事ないんで、そんなのもいいなあと思います。それと川口のレトロな金物屋です。