11月11日

僕たち夫婦は奥さんの希望もあり、2011年の11月11日に入籍した。
今日が一周年の祝いの日でしたが、奥さんは朝から勉強会というのに参加すると言って出て行き、ぼくは晩秋の山に独りで入って行った。
登山道の入り口に駐車場があり、そこに車を止めて歩き出したが、途中登山道からはそれて、沢伝いに小道を登って行き、反対側の斜面に取り付いた。
途中でひどく獣臭い所もあったが、リュックに鈴を付けて急な斜面を木や草にしがみつきながら頂上を目指した。
頂上付近はなだらかで、気持ちの良い場所だったが、急に天候が悪くなり猛烈に風が吹き出した。
地形図とコンパスを頼りに適当に歩いていったのだが、方向感覚には自信があったのでさほど心配もせずに薮の中を歩いていた。
峠に抜けるなだらかな山の稜線を歩いてもうすぐ山道に出るはずなのだが、やたらと傾斜が急でどんどん下っている。
ふと右下を見ると地図に無いダムが見えて、自分の歩いている道がてんで違う所だと気付いて、時計を見て午後3時半を回っていたので、あせる。
下手に降りて道の無い沢に出たら大変な事になると思い、まただいぶ下った来た道を急いで登り始める。、左手に見える稜線を目指す事にする。
やっとの思いで、登り足ががくがくになりながらその稜線をおり始めるが、この斜面も違う気がして沢を降りようとするが、滝があって無理でもう一つ左の稜線に登る事にする。
とうに日が暮れて薄暗くなっていて、半分ここいらで野宿するかと考えながらも、はじめての結婚記念日で、奥さんとワインを飲もうなんて言っていたのに、山で遭難して帰れないのは駄目だと最後の力を振り絞り崖に取り付き、登りきると人が付けた印と、赤いマークが付いていて、下草も刈られていて、その印をたどり暗くなった急斜面を降りて行って林道に出た。
過信するのは禁物で、もう少し謙虚でなければいけないと勉強になった。
実際は地図で見て登り始めた地点が、思っていた場所と違っていた。
無事に夕食に間に合い、山で採れたなめこで、赤出し汁とおろし合えを作って食べた。