不思議な出来事

ロサンゼルス滞在も今日を入れて、残りあと3日。
今日は何度か試みたが開いていなかった(月曜、火曜だからか?)ギャラリー巡りをしようと、ハリウッドにいる。
まだ朝早いので、コーヒーショップで時間をつぶす。


昨日はカタリナ島を4時半にフェリーが出るので、それまでのんびりしようと良いビーチを探す。
ところがアバロン近郊には良いビーチが無い。
島は岩で覆われていて、砂浜が少なく、良い所はプライベートになっていて。
ボートで遠く迄行くしかない。


今日もまた山登り。
ハンバーガーを買って、南東方面に歩き出し、眺めの良さそうな急な斜面に取り付く。
思いのほか急な斜面を登りきり、持って来た新聞紙を敷いて座り、ハンバーガーを食べる。
今日も霧で視界が悪く、雨がポツリポツリと降っていて、風もあって肌寒い。
上空ではカラスが、気流を掴みながら上手に飛んでいる。
食べ終わると、敷いていた新聞紙を丸めてズボンのポケットに入れて、行きとは違う急斜面を降りて行く。
急斜面を下るには、後ろ向きに斜面を下ると良い。
登りと同じ向きで、後ろを振り向きながら、体重を山に預け気味にして、足を下ろして行く。
足に負担が少なく、足を滑らしにくい安全な方法だと勝手に思っている。
ガムを食べようとポケットに手を入れると、丸めた新聞紙が無くなっているのに気がつく。
いずれ土に帰るだろうと、気にもかけずにそのまま進む。


急斜面を下りきると、ジープが通れそうな車道に出た。
途中行く手に、耳の大きな狐がこちらの様子をうかがっている。
脅かさないように近づくと、茂みの中に姿を消した。
別の尾根に出て、再び急な斜面を下って行くと、左手にカラスが石を掴んでくるりと回りながら、飛んでいる。
あんな大きな石を掴んでどうするんだろうと見ていると、そのカラスが自分の頭上に来て、ぽとりとそいつを落とした。
見ると随分前にポケットから落とした、丸めた新聞紙だった。


「落とし物ですよ。」
と好意で、運んでくれたんだろうか?
ゴミを捨てないでということか?(まさかそんな事はないだろう。)
うれしくて、何かお礼をしたくてリュックから食べ物を探すが、チョコレートと塩をふったアーモンドしか無い。
しかたなく、地面にアーモンドを並べて置いた。
カラスは何度もアーモンドの上を低空で飛んでいたが、気に入らないらしく、鳴きながらどこかへ飛んで行った。