パソコンの画面と向かって反対側の窓に、朝の光が入り、パソコンの画面に映り込んで画面が見え難い。
2日前に新しい部屋の家具を配置換えしたのに、また移動するのはうんざりだ。
そういえば前の家ではどこにパソコンを置いていたってけ?
なかなか記憶が戻ってこなかった。
今は新潟市内の中心地に近い、緑の多い静かな住宅地に越してきている。
7月に妻が引越しをしようと言いはじめ、今年の秋は展示を沢山するので不安だったが、そうすることにした。
物件探しから難航した。
妻の提案で、住む家とは別に、アトリエ兼膨大な量の画材、作品、写真などなどの荷物を保管する物件も別で探し始めた。
一時決まりかけた西区にある一軒家。ぼろぼろで、借主が修繕して使って欲しいという物件。
柱がシロアリに食べられ、食べあとの向こうに庭に光が見える。
その周辺の窓が開かない。柱を取っ替えないといけない。
これは素人の手に追えるかネットで調べると、車のジャッキで梁を上げて、新しい支柱を入れるという。
絵を描く前に大変な作業が待っているが、なんとか出来ると考えた。
広くて、なんと言っても家賃が安い。
それで契約まで漕ぎ着けた。
その後よくよく聞くと、上下水道の配管が生きているかわからない、台所の水は出るが、トイレの水が流れないという。
地面の下までは僕には無理なので、この物件は断念した。
妻と住む家は早々に見つかり、妻は早くから荷造りをしていた。
9月からに新居の契約をして、元の家は9月15日迄借りることにして、その期間で引っ越すことにした。
アトリエは9月ギリギリになんとか決まった。
不動産屋の手元に書類が揃ったのが8月31日だった。
アトリエは都心の繁華街に近い、長屋の奥、建物がとても古く天井が低い、2メートル無い物件。
その後引っ越しの荷物を入れるのに玄関からは物が入らなくて、窓枠を外して入れることになる。
岡崎の展示は9月20日から、地元の知人や、友人に個展の事を伝えるとみんな四方八方声をかけてくれている。案外人が来てくれるかもしれない。
焦る。
個展の準備をしながら、引越しの作業。
10月に新潟でやる展示のDMを作ったり、9月5日から始まるシロネプレッソの展示もしなくてはいけない。
シロネの展示は作品数が多いので、準備が煩雑で時間が掛かる。
9月4日にシロネの展示を飾り終え、本格的に引っ越しの準備を始める。
とにかく荷物が多い。
七部屋ある家に絵のパネル、写真、それぞれの道具などを溜め込んでいた。
それに中二階の部屋と、車の入らない駐車所のスペースにも荷物が沢山あり、それでも足りないと、近所の空き家の一室をお借りしていた。
それらを車に積んで、何度も何度も往復する。
9月になれば気温が下がり、引越しも楽だろうと考えていたが、予想は外れて、気温35度の中荷物を持って、階段の登り下りを繰り返す。
大汗が垂れる。Tシャツを絞ると水が出てくるような気がする。
やむをえず捨てるものも多い。
清掃センターにも何度も通った。
車の荷台7、8杯分位捨てただろうか。
9月7日からは新居に寝泊まりをし、旧宅に通う。
スーパーで弁当買い、段ボールを貰ってきて、物を詰める。
なかなか部屋が片付かない。荷物が多過ぎる。
9月15日になっても荷物が沢山あり、絵も捨てた、パネルから剥がした作品は見ないで捨てた。1000枚描いたと喜んでいた雨の絵も大半を捨て、パネルも捨てた。
結局作業は16日の夕方迄延びて、まだ残った沢山の荷物を、妻の案で近所の空き家に入れさせてもらって、なんとか不動産屋さんに鍵を渡すことが出来た。
新潟に来て11年お世話になった、日の出の家を後にした。
アトリエはダンボールとパネルの山、また二階と一階に荷物の大移動。
岡崎の展示に間に合わないと、絵を描こうと思ったが絵の具や筆がどこにあるかわからない状態。
とりあえず岡崎の準備だけはしっかりしないといけない。
絵を揃えて、忘れ物があっても新潟迄取りに行けないので、混沌とした中でも慎重に、思いついた物や事をメモしながら、荷造りをする。最後に作品の題名と値段の付いたキャプションを作って、空が明るくなりかけた頃に仮眠をして、19日の昼前大雨の中、荷物満タンの車で、秋雨前線の入り込んでいる新潟を発つ。
岡崎の展示は、忘れ物もなく、抜かりなく展示出来た。
新作が揃えられずに残念だったが、仕方がない。
続く。