捨て猫の島3

猫に餌を与える事は、はたして良い事なのだろうか?
ここの猫に限らず多くの野良猫が、いろんな人に恵みを受けて生き抜いている。

ぼくも(猫の写真を撮って欲しい。)との依頼がなければおそらくそんな野良猫の境遇を知る事は無かっただろうし、関心を持たなかったに違いない。
猫に関心の無い人にとってはどこにでも糞をして臭いし、交尾の時期になると泣きわめいてうるさい、という存在でしか無いのだろう。
そしてそんな迷惑な生き物に餌をやって子孫をどんどん増やされたらたまったもんでない。猫に餌をやってるのを見るとつい注意したくなるのは当然かもしれない。

今日の事だ、以前日記に書いた公団住宅が壊される前に、金属の板で周囲を囲われてしまったためそこにいた猫達が隣にある新しい公団住宅に移動したのである。その新しい建物は前のぼろいアパートとは違って近代的で立派なマンションなのである。そのマンションの前に小さな草地があり、猫の遊び場になっている。

そこで今日も集まって来た猫に餌をやっていると、一人の男性が近付いてきて、「このマンションで猫に餌をやらないで欲しい、猫が糞をして子供が遊べなくなる」もっと別の場所にしてくれというのだ。
確かにそうかもしれない。
でも野良猫に自主的に移動してもらう事も出来ない。以前住んでいた場所を追われて仕方なくここにたどりついたのだから。
少しその男性と会話をしたが難しい問題なだけに結論は出なかった、結局少し坂を降りた駐車場で餌をやる事にしようと思う。

またこれからも問題は起こりそうだ、簡単に解決する事ではない。

今考えれば、写真を撮るだけにして猫に餌をやったのが失敗だったのでは無いか、とも思ってしまう。
でもぼくが餌をやらなかったらきっとあのチビは生きてなかっただろう、と思う。

旅はまだつづく。