10/17足尾初日

出発の朝駐車場で、去年足尾で知り合ったお兄さんと出会う。
その方はこの山の魅力に取り付かれ毎年しょっちゅう来ているらしい。
この山は難易度もあり、危険も多い。そのぶん爽快で雄大な自然を感じる事が出来る
30キロの荷物を背負い、歩き始める、最初慣れないせいもありふらふらしながら前のめりになって進んで行く、平地でもこの状態では登りになったらどうなる事かと先が思いやられる。
獣道に入る、この山の特徴として登山者が少なく鹿の生息数が多い、そのぶん山の稜線には大抵は獣道があり、それをたどって地形図を見ながら目的地を目指す。
登りが予想以上に辛く、立ち止まってはこきゅうを整え予定より大幅に遅れて、大尾根の一つ目のピークに到達し見ると先程の兄さんが先に違うルートで登ったんだろうか、お昼を食べてビールを飲んでいる。
こちらは必死だ。
しばらく話をして「気を付けて」と言葉を交わし、さきを急がねばとお別れする。

この尾根は木が余り生えておらず(足尾の鉱毒の排煙によって、草木が枯れたらしい)ながめが良く爽快だ。
昼休みにサンドウィィチを食べながらふと見ると、トレッキングシューズのソールが割れて剥がれかけている。
以前キノコ採りで、ソールが靴本体からパックリと取れて、スリッパのような感じで山を歩き、しまいに靴自体が崩壊して靴下で崖を歩いた経験があり、今回この荷物で三日もやまを歩くのにと先が思いやられる。
以前もメレルの靴で、今回もメレルだ、ファッション性は高いのだが、メレルはもう信用ならない。

そのまま休憩をおしんで必死で移動し、日暮れ近くに今日の当初の予定の半分程の庚申山に辿り着く。そこから次のピークの鋸山を目指すが、途中で暗くなってしまう。テントを張るのに適当な場所が無いので、夜道を更に先に進み、今一つだが尾根のすぐ脇のちょっとした笹薮にテントを張る事にする。
ヘッドランプを付けてテントの設営を進めて気付くと、テントのポールが無い。確かに持って来た記憶が無く、これではテントは自立せず、テントの役割をなさ
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ない。

思わず、「馬鹿野郎」と叫んで、声が山野にこだまする。

仕方なく笹の上にシートを敷いて、寝袋にくるまって一夜を明かす事にする。
熊が来ないかと少し不安なのだが、気が付いたら眠っていた。

夜中満点の星に感動する。夜露が冷たい。