昨日今日

熱帯魚や海の生物の図鑑があり、それらの生き物の色と形の面白さに惹き込まれている。
最近は毎日その図鑑を観ては、スケッチブックに描き留めたりする。
今週は、一年分の溜まったレシートを選り分けて、計算し確定申告をしに行ったり。
押し入れに棚を造り、整理しようと大工仕事をしたりと、そんな事で日が暮れた。

昨日は前回の個展を観に来て下さった方の中に歌を歌っている人がいて、その方が出演されるというので、奥さんと聞きに行った。
マイクも無く大きなホール一杯に響き渡る歌声に驚き、心を震わされた。
声は透き通っていて、その方のピュアな心根が、スッーと自然に現れているようで、心地良かった。
その方は少し年配の方なのだが、7年前にデビューをされたとおっしゃっていた。
その年齢で決心をされて、修練されて、人を感動させる事、に驚かされた。

今日は前回お世話になった、小さな美術館季に行き、ひな人形展と同時開催されている、着物展を見に行き、オーナーさんのご家族とお話をして来た。
いつも会ってお話をすると、心が洗われる気持ちになる。
奥さん共々感謝感謝なのです。
日々の暮らしを大切にしなくてはいけない、とその時は思うんです。

その後知足美術館という所で、齋藤真一という画家の作品を観に行った。
齋藤真一という人は、瞽女(ごぜ)という人達に惹かれて、瞽女を題材にした絵をたくさん描いた人で、数年前古本屋で本を見つけ、ぼくも一冊画集をもっている。
瞽女というのは、三味線を弾き語りで歌をうたい、方々の家を渡り歩き、食をえていた、盲目の女性達の事らしい。
その瞽女唱の実演があり、瞽女を伝承する萱森直子さんという方の弾き語りも聴いて来た。
そこに描かれている絵は、暗く切ない表情の瞽女の姿や、日本海の裏寂れた景色などで、心にずっしり響く、印象的で独特な美しさがある。
齋藤真一という人は、瞽女という人達の存在を知り、瞽女の存在を記録する使命感を感じ、取材してはお話を聞いて回り、作品を造り続けたそうだ。

ぼくがはじめ齋藤さんの絵をみた時は、その薄暗い透き通るような独特な美しさ、画面に現れる強烈な赤い色の印象。
など、ビジュアル的な観点からしかとらえていなかった事を、改めて良く気付かされました。
そして自分の今描いている事、頭にある事がいかに表面的で浅はかかと、感じました。

とても意味深い、昨日今日でした。

写真は、吹雪の夜の家の前の景色です。